ペベリンスキーズ・ブログ

ペベリンスキーのチラシの裏。

アルゴンプラズマ凝固法(APC)について

アルゴンプラズマ凝固法 Argon-Plasma Coaglation;APC
スプレー凝固(放電凝固)では、通常よりも高い電圧(4300V)をかけることにより、抵抗の高い空気中にスパークを飛ばす非接触的な凝固法です。接触した点でのみでの接触凝固に比べ、面で凝固できるスプレー凝固はoozingに対して有効な止血法といえます。これをさらに発展させたのがアルゴンプラズマ凝固法(APC)です。

電離しやすいアルゴンガスは、高電圧のスプレー凝固出力によってイオン化したガス(プラズマ)となり、電極と組織の間に効率よく電圧を通す、橋渡し役となります。また発生したアルゴンプラズマビームは、電流密度が低いため、凝固深度は表層にとどまり、かつ均一です。
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フォースドAPC Forced APC

従来のAPCと同様の特性。出力設定による凝固深度の制御と点火性能が向上。

プレサイスAPC Precise APC

プローブと組織間の放電状態と電圧を検知し、動的に出力を制御することで、常に最低限のプラズマ状態を維持。放電が強くなると(近くなると)電圧を下げ、弱くなると電圧を下げることで、浅い凝固層を作る。GAVEなどで浅く焼きたい場合に適している。

パルスドAPC Pulsed APC

フォースドAPCよりも組織から離れて凝固が可能なため、より強いプラズマが発生するが、パルス出力のため単位時間あたりの出力は弱くなる。2種類の間欠的なAPCにより表層からAPCでの限界深度までのコントロールが可能。

胃前庭部血管拡張(GAVE)に対するAPC

胃前庭部毛細血管拡張症 (gastric antral vascular ectasia; GAVE, watermelon stomach)
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血液透析に新規導入された肝硬変患者に発症し,アルゴンプラズマ凝固(APC)を頻回施行したにもかかわらず出血を繰り返した胃前庭部血管拡張(GAVE)に対し,動脈塞栓術(TAE)が有効であった1例を報告する.症例は大量の腹水を伴うC型肝硬変を有する61歳,男性.腎機能低下のため当院紹介入院となった.血液透析導入後,進行性の貧血とタール便が出現した.胃カメラにてGAVEからの出血が確認されたため,以後4回にわたりAPCが施行されるも,貧血の進行はさらに激しくなった.そこで左右胃動脈に対しマイクロコイルによるTAEが施行された.その後GAVEの再発は認められず,患者は退院より40か月の時点で外来通院中である.


肝硬変を背景とした繰り返す胃前庭部血管拡張(GAVE)からの出血に対し左右胃動脈塞栓術が有効であった血液透析患者の1例
日本透析医学会雑誌 Vol. 41 (2008) , No. 11 p.803-808
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/41/11/41_803/_article/-char/ja

下鼻甲介粘膜焼灼術

下鼻甲介粘膜焼灼術とはレーザーやアルゴンプラズマ療法により、アレルギー反応の起こる下鼻甲介という鼻の中の粘膜を熱変性させてやり、スギ花粉を吸入してもアレルギー反応を起こしにくい粘膜にしてあげます。特に鼻づまりの強いタイプの人に効果的です。

クローン病

本疾患は原因不明で、主として若い成人にみられ、浮腫、線維(筋)症や潰瘍をともなう肉芽腫性炎症性病変からなり、消化管のどの部位にもおこりうる。消化管以外(とくに皮膚)にも転移性病変がおこることがある。原著では回腸末端をおかす(回腸末端炎)と記載されたが、その後口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位におこりうることがわかった。臨床像は病変の部位や範囲による。発熱、栄養障害、貧血、関節炎、虹彩炎、肝障害などの全身性合併症がおこりうる。
〔WHOのCIOMS(Council for International Organizations of Medical Sciences.医科学国際組織委員会)による概念(1973)を一部改訂〕
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病型

本症の病型は縦走潰瘍、敷石像または狭窄の存在部位による(例:小腸型、小腸大腸型、大腸型、直腸型、胃・十二指腸型など)。これらの所見を欠く場合は特殊型とする。特殊型には多発アフタ型や盲腸虫垂限局型などがある。
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臨床症状

腹痛、下痢、体重減少、発熱、肛門病変などがよくみられる症状である。ときに虫垂炎に類似の症状、腸閉塞、腸穿孔、大出血で発症する。また、腹部症状を欠き、肛門病変や発熱(不明熱)で発症することもある。
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内視鏡所見

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アフタ様潰瘍/縦走潰瘍/敷石像

http://www.gpro.com/knowledge/d3/d3_03.htm