ペベリンスキーズ・ブログ

ペベリンスキーのチラシの裏。

播種性血管内凝固症候群について

播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation;DIC)
基礎疾患の存在下に全身性かつ持続性の著しい凝固活性化をきたし、全身に多発する血栓形成に伴って血小板や凝固・線溶(せんよう)因子の消費・欠乏状態を起こして、皮膚の紫斑や点状出血、静脈注射痕からの出血、下血、血尿など全身の出血傾向を生じる。また、多発する微小血栓のために虚血性循環障害を生じ、さまざまな臓器症状(腎臓での乏尿、無尿、肺での呼吸困難、消化管では急性潰瘍による下血、中枢神経系では意識障害など)を生じ、進行すると多臓器不全で死に至ることもまれではない。
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血液・呼吸器内科のお役立ち情報:播種性血管内凝固症候群(DIC):概念
http://www.3nai.jp/weblog/entry/24224.html

原因疾患

急性前骨髄球性白血病(APL)、劇症肝炎、敗血症、乳癌、AMLなど

診断

血小板数・フィブリノゲン値の減少度、あるいはFDP値(フィブリン分解産物)が有用

治療

原因となる基礎疾患の治療が極めて重要。さらにメシル酸ガベキサート(FOY)、メシル酸ナファモスタット(FUT:フサン)による抗凝固療法も行う。
http://www.3nai.jp/weblog/entry/23766.html

● FOYとフサンの相違点
1)フサンは、抗凝固活性のみならず、抗線溶活性も強力です。FOYは、抗線溶活性は強力ではありません。
2)フサンは、高カリウム血症の副作用があります。FOYには高カリウム血症の副作用はありません。
3)フサンは線溶活性化が強いタイプのDICに有効ですが、FOYは線溶活性化が強いタイプのDICにはあまり有効でありません。

● FOYとフサンの使い分け
1)線溶亢進型DIC(出血症状が著明なDIC)には、フサンが絶対的に有効です。たとえば、前述のような急性白血病、前立腺癌、腹部大動脈瘤などに合併したDICにはフサンが有効です。
2)マイルドな効果を期待したい場合は、FOYが選択肢にあがります。たとえば、出血傾向が強くヘパリン類は使用できないし、しかもカリウム濃度が高く、フサンも使いがたい時などです。
3)どちらも、DIC治療を語る上で、必ず登場する必要がある重要な薬剤です。