ペベリンスキーズ・ブログ

ペベリンスキーのチラシの裏。

BIPAPについて

biPAPは、bilevel Positive Airway Pressureの略で、もともとは侵襲的、非侵襲的に関係なく、その換気モードを意味する言葉でしたが、フジ・レスピロニクス社の BiPAP Visionが有名になり、非侵襲的の二相式ベンチレーターのことをさす言葉として一般に使用されています。
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フジ・レスピロニクス http://www.fuji-respironics.com/product/hospital.html

IPPVとBIPAP

挿管されて人工呼吸器に接続されたばかりの患者においては、従来はIPPVによる換気が選択されることが多かった。このモードは呼吸のすべてが人工呼吸器による機械換気で、患者の自発呼吸はすべて制限される。このため、筋弛緩薬や大量の鎮静剤は不可欠になる。一方、BIPAPでもIPPVと同じような圧波形を供給することはできるが、患者は機械換気の最中であっても、どのタイミングでも自分の呼吸を行うことができる(機械換気が吸気中であっても、患者が息を吐きたいと思えば吐ける)ので、筋弛緩薬や鎮静剤の量を減らすことができる。さらに、機械換気中であっても患者自身の呼吸量が加わるために換気量をその分減らすことができ、結果としてピーク気道内圧をより少なくすることもできる。

PCVとBIPAP

気道内圧波形を見比べただけでは、PCVとBIPAPは区別がつかないぐらいによく似ている。どちらも圧制御型の換気様式で、患者の吸気に同調して気道内に陽圧をかけ、それを設定された時間だけ続けようとする。
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この両者でもっとも大きな違いは呼気弁の作動のしかたにある。PCVの場合、患者の吸気中は呼気弁は閉じている。このため患者が息を吐きたくなっても、設定した時間が来ないと呼気弁は開かず、この間は非常に苦しくなってしまう。BIPAPは、患者の吸気時間中であっても吸気弁を閉じることはせず、その開き具合を持続的に調節している。このため患者が息を吐きたくなった場合でもスムーズに呼吸ができ、その間も気道内圧は設定した値に保たれる。

プレッシャーサポートとBIPAP

患者にとって楽な呼吸を目指したモードとして、PSVとBIPAPとはよく比べられる。PSVは患者の吸気と呼気とをすべて患者のトリガーによって行うため、患者は非常に楽に呼吸できる。しかし、人工呼吸器のトリガーには限界があり、頻呼吸になればなるほど呼吸器の応答は悪く、患者の呼吸困難は増し、また換気の効率も悪くなる。

BIPAPもまた、患者の吸気に合わせて気道内圧を上げ、患者の呼気にあわせて気道内圧を下げる。しかし、気道内圧の変化は原則として設定した時間以内には行われないので、患者が頻呼吸になっても呼吸器の応答が保たれる。また、一定時間は患者の気道内圧は高い圧に保たれるので、品呼吸による換気効率の悪化が生じにくく、また自発換気を残したまま最低分時換気量を調節することができる。

biPAPの設定方法

挿管直後は、従来ならばIPPVやSIMVのモードが用いられる時期であるが、こうしたモードをBIPAPで代替することが可能である。従来のモードともっとも異なっているのが換気時間の設定で、従来の機械換気ではI/E比と換気回数を指定し、吸気時間と呼気時間を間接的に決定していたが、 BIPAPではこの2つの時間を独立して設定することができ、これらの時間の設定の結果I/E比や換気回数が決定する。挿管直後の急性期であっても、 BIPAPモードは患者の自発換気を消さないため、呼吸器の設定する換気回数やI/E比はあまり意味をもたなくなる。

また、従来型の機械換気であれば1回換気量を設定し、患者の気道内圧をモニターしていたが、BIPAPモードでは逆に気道内圧を設定し、患者の分時換気量をモニターすることになる。

具体的な設定としては以下のとおり。

1. 通常の呼吸不全の患者でのPEEP圧と同じ圧に、低いPEEP圧を設定する。
2. それよりも12-15cmH2O程度高い圧に、高いPEEP圧を設定(1回換気量を見ながら調節)する。
3. 高いPEEP圧の時間は1.5-2.5秒、低いPEEP圧の時間は3.5-2.5秒程度から開始し調節する。
4. 酸素化が悪ければ高いPEEP圧の時間を延長し、CO2の貯留があるようならそれぞれの時間を短く調節して換気回数を増加させる。
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BIPAPのウィーニング

BIPAPモードは、ウィーニング中も同じモードを継続して使用できる。方法は以下のとおり。

1. 状態が落ち着き、FiO2を50%以下まで下げられたらウィーニング開始。
2. まずは高いPEEP時間を徐々に減らし、I/E比を1:1から1:3程度まで徐々に増加させる。
3. この間、患者の吸気、呼気にあわせて機械がタイミングを変更するので同調は気にしなくても大丈夫。I/E比を調節していくと、そのうちに作動はプレッシャーサポート換気とまったく同じになる。
4. 最後に高いほうのPEEP圧を徐々に減少していき、高いPEEP圧と低いPEEP圧が同じになると、CPAPと同じ動作波形が得られる。
5. これで問題なければ抜管を考慮する。

NPPVのbiPAP

NIPネーザルにおいては、
S: 自発呼吸に同調して、IPAP(吸気圧)とEPAP(呼気圧)を切り替えます。
T: 呼吸数と吸気時間にあわせて、圧が切り替わります。
S/T: Sモードに加え、一定時間自発呼吸が無い場合に吸気圧になります(バックアップ機能)。
CPAP: 吸気圧を連続送気します。
の4モードがあります。

コピペ元

エビタのBIPAPモード - レジデント初期研修用資料(旧)
http://medt00lz.s59.xrea.com/blog/archives/2004/11/bipap.html
http://medt00lz.s59.xrea.com/blog/archives/2004/11/bipap-2.html