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CO2ナルコーシス

CO2ナルコーシス(高炭酸ガス血症)とは

概要

CO2が過剰に蓄積し、高炭酸血症を来たすと、CO2の血管拡張作用(頭蓋内圧亢進作用)によって頭痛が生じるとともに、中枢神経抑制作用を来たす。同時に呼吸中枢も抑制されるのでますますCO2が蓄積するという悪循環に陥る。

原因

臨床上でもっとも注意しなければならない点は、慢性のII型呼吸不全に対して不用意に高濃度O2を投与すると、本症を誘発することである。つまり、II型呼吸不全が慢性的に持続すると、呼吸中枢は高濃度のCO2にすっかり馴れてしまい、もはや何の刺激も感じなくなる。この状況で呼吸中枢を刺激しているのは、O2の不足(PaO2の低下)のみである。したがって、突然体内に高濃度のO2が入ってくると、その刺激が奪われてしまい、自発呼吸が停止してしまう。すると治療のために投与したO2のせいでどんどんとCO2が蓄積し、CO2ナルコーシスに陥ってしまう。

  • 通常は CO2刺激(高CO2)で呼吸中枢が促進される。
  • COPDでは O2刺激(低O2) で呼吸中枢が促進される→高流量O2にて呼吸停止。

症状

高炭酸血症では頭痛、振戦、痙攣、傾眠がおこる。特に発汗は著明で、体温に関係なく見られる。頭痛、振戦は早期症状として重要である。頭痛は低酸素血症や高炭酸ガス血症による脳血流増加に基づく脳圧亢進によるものと考えられている。

また、呼吸不全には電解質異常を伴うことが多く、それによる中枢神経症状が出現する。呼吸性アシドーシスでは高K血症を伴うことが多いが、この状態が長く続くと、尿中にKが排出され、逆に低K血症になる。高K血症では、知覚、運動障害が徐々に出現する。意識、精神障害は通常少ない。その他、しびれ感、灼熱感などの異常感覚と筋脱力感、筋痙攣をみる。低K血症ではときに無関心、無気力などをみる。血清Naが120mEq/l以下になると倦怠感、傾眠、異常言動や錯乱などが出現する。

診断

上記症状、病歴、動脈血ガス分析、胸郭X線写真などにより行う。確定診断には動脈血ガス分析が必須であり、通常PaCO2>80Torr、 pH<7.30ではCO2ナルコーシスを合併している可能性が高い。しかしながら、慢性閉塞性肺疾患の患者ではこれより高くても意識障害が出ない場合がある。また、中枢神経疾患(脳血管障害、脳髄膜炎)、代謝性脳症(糖尿病性昏睡、肝性脳症、尿毒症性昏睡)、薬物中毒などとの鑑別が必要である。

治療方針

  • 低濃度・低流量酸素投与

慢性呼吸不全患者では、日常的に高炭酸ガス血症になっているため、呼吸中枢の二酸化炭素に対する反応が低下している。肺疾患を有する場合、ベンチュリー・マスクで24〜28%O2を吸入、もしくは鼻カニューラでO2を 0.5〜1.0L/分で吸入する。目標のPO2は50〜60Torr、パルスオキシメーターでSpO2を90%、PCO2を75Torr以下を目標とし、意識状態を頻回に確認する。

  • 人工呼吸管理
    • 非侵襲的陽圧換気(NPPV:noninvasive positive pressure ventilation)
    • 人工呼吸器管理

http://www13.plala.or.jp/thoraco/homework/shukudai25.html
http://nayami.tabine.net/ns/000034.html