ペベリンスキーズ・ブログ

ペベリンスキーのチラシの裏。

逆流性食道炎

胃から分泌される胃酸が、食道に逆流することで、食道の粘膜を刺激し傷つけることで起こる炎症のことを指す。症状としては、胸やけや喉の違和感、嗄声などがある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%86%E6%B5%81%E6%80%A7%E9%A3%9F%E9%81%93%E7%82%8E

原因

  • ストレス、過飲過食、飲酒による胃酸過多
  • 下部食道括約筋(LES)の緩み

年齢とともに、食道と胃のつなぎ目でバルブのような働きをしている下部食道括約筋の締りが悪くなり、胃酸が逆流しやすくなります。つまり、噴門を閉じる力が弱くなって、食物を飲みこむのと関係なく開いてしまうのです。
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  • 食道裂孔の緩み

食道裂孔も食道と胃のつなぎ目を締めていますが、やはり年齢とともに緩んでしまい、ここから胃がはみだす「食道裂孔ヘルニア」になることもあります。こうなるとさらに胃液が逆流しやすくなるのですが、逆流性食道炎の患者さんはこれを合併している人が多く、高齢者にその傾向が強いようです。

  • 食道のぜん動運動が悪い

食道の動き(ぜん動運動)が悪いと、逆流した酸を胃へ戻すことができなくなります。

  • 胃の圧力が上がる

食べ過ぎた後や胃のもたれを感じるときには、胃の圧力が高まり、胃酸が逆流しやすくなります。また、肥満や妊娠などでも胃に圧力がかかり、逆流しやすくなります。

武田薬品工業 - むねやけ〜逆流性食道炎
http://www.takeda.co.jp/pharm/jap/seikatu/muneyake/

診断

内視鏡によって肉眼的に重症度を判定する、ロサンゼルス分類が一般的。なお、グレードNとグレードMCは日本独自の分類である。

グレードN:正常粘膜
グレードMC:明らかな糜爛や潰瘍がなく発赤だけ
グレードA:粘膜障害が粘膜ひだに限局し、5mm以内のもの
グレードB:粘膜障害が粘膜ひだに限局し、5mm以上で相互に癒合しないもの
グレードC:複数の粘膜ひだにわたって癒合し、全周の75%を超えないもの
グレードD:全周の75%以上にまたがるもの
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治療

胃酸を抑える目的で、最も効果が強いプロトンポンプ阻害薬PPI (パリエットタケプロンオメプラール)の投与が選択され、場合によってはH2ブロッカーを使用あるいは併用する。PPIに対する日本の保険適用は胃潰瘍としては8週間までと定められている。食道裂孔ヘルニアを併発し、症状が著しい例では手術(噴門部形成術など)を行う場合もある。
参照:PPIについて http://d.hatena.ne.jp/pebbleinsky/20100101/1262321546

バレット食道 SSBE/LSBE

逆流性食道炎の合併症として重要なものにバレット食道がある。食道上皮は本来は体表の皮膚と同じ(重層)扁平上皮であるが、逆流性食道炎では円柱上皮化生が生じることがある。これに特殊腸上皮化生が合併したものがバレット食道(Barrett esophagus)である。バレット食道は食道腺癌の前癌状態とされ、無治療では高確率で食道癌が発生する。
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※食道側への円柱上皮のはい上がりが3cm未満(SSBE)と3cm以上(LSBE)に分かれます。日本人では前者が多い。

胃食道逆流症 GERD

逆流性食道炎など、逆流による疾患の総称はGERD :Gastroesophageal Reflux Diseaseと呼ばれる。

GERDとSASの関係

近年の研究により、GERD患者の約10%にはSASがあることが判明し、SAS患者の実に54〜76%がGERDを合併していることが分かったそうです。原因は不明ですが。おそらく、無呼吸そのものから回復しようとする横隔膜の動きにより接合部の締りが悪くなり、胃内容物が逆流しやすくなるのではないかと推測されています。
http://www.ops.dti.ne.jp/~ueshima/SAS_GERD.html

ネーザルCPAPによるGERD治療

SASに合併したGERDには、ネーザルCPAP治療を行うことによってGERDの症状までも改善されることが分かっています。さらに、最近の研究では SASを合併していないGERD患者さんでもネーザルCPAP療法を行うことで症状が改善することが多いことも報告されています。SASを合併していない GERDにもネーザルCPAP療法が有効である理由は正確には解明されていませんが、CPAPによって気管内にかかる風圧が間接的に胃食道接合部を締め付ける力を助けているという考え方が有力です。
http://www.ops.dti.ne.jp/~ueshima/SAS_GERD.html