PPIについて
胃の壁細胞のプロトンポンプに作用し、胃酸の分泌を抑制する薬である。PPI(Proton pump inhibitor)と略される。胃酸分泌抑制作用を持つ薬剤には他にヒスタミンH2受容体拮抗薬があるが、プロトンポンプ阻害薬はH2ブロッカーよりも強力な胃酸分泌抑制作用を持ち、分泌抑制作用は用量に依存する。H2ブロッカーよりも抑制作用が長時間持続する。
日本で実際に内服のPPI使用が認められている疾患は、胃食道逆流症(逆流性食道炎)、胃・十二指腸潰瘍、胃・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ除菌、である。消化性潰瘍の原因はヘリコバクター・ピロリ感染とNSAIDs服用が大半を占めるが、除菌治療やNSAIDs服用中止等の原因療法とPPIなどの酸分泌抑制薬の投与でほとんどの患者が治癒する。逆流性食道炎に関しては維持療法では長期間にわたるPPIの投与が必要にはなるが、大半の患者はPPIで治療可能である。