ペベリンスキーズ・ブログ

ペベリンスキーのチラシの裏。

ASOについて

閉塞性動脈硬化症(ASO:arteriosclerosis obliterans)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%89%E5%A1%9E%E6%80%A7%E5%8B%95%E8%84%88%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7%97%87
中年以降の中年男性に多い。動脈造影では動脈の狭窄像や側副血行路の発達がみられる。症状の進行はFontain(フォンテイン分類)が病期と症状を結びつけられたものとして用いられている。
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Fontaine分類

臨床症状による患肢の血流不全の程度を予測する分類

  • Fontaine 1度(もっとも軽症)

下肢の冷感や色調の変化

  • Fontaine 2度

間歇性跛行(かんけつせいはこう) - 数十から数百m歩くと痛みのため歩行継続不可能になる症状。なお、腰部脊柱管狭窄症でもみられるため鑑別が必要。

  • Fontaine 3度

安静時疼痛

  • Fontaine 4度(もっとも重症)

下肢の皮膚潰瘍。糖尿病などによる末梢神経障害がない限り、患者は激痛を訴える。

  • Fontaine 5度

下肢の壊死。下肢の温存は不可能であり、切断の適応となる

Rutherford分類

Fontaine分類よりさらに細分化した客観的で再現性の高い分類
http://www8.ocn.ne.jp/~halfboil/criteria/tab-c2.html#Rutherford

診断

非侵襲検査では、ABI(Ankle Brachial Pressure Index)が一般的に用いられる。0.9以上が正常とされるが、0.7程度まで低下すると間歇性跛行を呈する。一方潰瘍形成や安静時痛を呈する重症虚血肢では、通常0.4以下のことが多く、ABIが0であることも稀ではない。また糖尿病症例では、下腿動脈の石灰化のためにABIが測定できず、その代替検査としてtoe brachial pressure Index(TBI)が有用である。歩行時の血行動態を検討するには近赤外線分光法(NIRS)が有用であり、本検査も糖尿病の動脈石灰化の影響を受けない。

安静時痛、虚血性潰瘍を認める場合には、SPP(skin perfusion pressure)が治癒の可能性を予測するのに有用である。SPPが40mmHg以上である場合には、保存的治療により潰瘍の治癒が得られることも多い。

触診では、左右の肢を比較することが極めて重要です。
下肢の皮膚温、動脈拍動の強さ(なし、弱い、正常)を左右の肢で比較することで、狭窄・閉塞の有無を調べます。狭窄・閉塞がある患肢では、末梢で拍動が弱かったり、消失していたりします。

  • 足背動脈の触診

手の指三本を、足背動脈にあて拍動の有無を調べます。左右差を知るために、両側同時に触れます。

  • 膝窩動脈の触診

仰向けに寝ている患者の前方に立ち、両手で膝を抱えて後方から膝窩を圧迫し、拍動の有無を調べます。

  • 後脛骨動脈の触診

左足の場合、患者の左側に立ち右手で拍動の有無を調べます。場合により両側同時に触れ左右差を調べます。
http://e-aso.info/medical/sindan/index.html

鑑別診断

現在TAO(thromboangiitis obliterans;バージャー病)は激減しており、末梢動脈閉塞疾患の大多数はASOであることから、上記の下肢虚血症状を認めた場合には、まずASOを疑う。40歳代までの若年者の場合はTAOを鑑別する必要があるが、60歳以上であればASOが強く疑われる。

下肢の末梢動脈拍動を減弱もしくは消失を確認し、ABI(TBI)の測定を行う。低下している場合には上記の画像検査に進み、その閉塞状況を確認する。 TAOの場合と異なり、中枢側から動脈壁の不整を認めると同時に石灰化を認めることが多い。糖尿病性の場合、特に下腿3分枝以下に高度な病変を認めることが多い。

鑑別診断としては、TAO、塞栓症、膠原病に代表される血管炎が挙げられる。TAOは発症年齢ならびに画像検査により、塞栓症は不整脈の有無や画像検査により鑑別される。血管炎は末梢病変であることがほとんどであり、血液検査ならびに血管撮影により鑑別可能である。
http://mymed.jp/di/zh8.html

危険因子

喫煙/高脂血症/性別(男性であること)/高血圧/糖尿病等との合併

治療

病期の進行に応じて、軽症では内服による治療が第一選択として考慮される。抗血小板剤、魚油やプロスタサイクリンがある。プロスタグランジンE1製剤や抗トロンビン剤の点滴が次に試みられる。Fontaine 2度以上では、外科的手術による血管バイパスや、バルーン拡張やステント留置による血管内治療が考慮される。下肢の壊死が重症である場合は、下肢の切断となることもあるが、合併症がない例でここまで至ることは稀である。生活指導も重要であり、特に、禁煙の必要性が非常に高い。