ペベリンスキーズ・ブログ

ペベリンスキーのチラシの裏。

経皮的エタノール注入療法

一般に肝癌に対する治療としては、外科的治療の肝切除術と、内科的な肝動脈塞栓術(TAE)・マイクロ波凝固療法(MCT)・経皮的エタノール注入療法(PEIT)などがあります。

PEIT(ペイト) Percutaneous Ethnol Injection Therapy 経皮的エタノール注入療法

この治療法は、おもに原発肝細胞癌・転移性肝癌などの肝癌((図1)への内科的治療として施行されますが、肝癌の他には、肝臓や腎臓の嚢胞と甲状腺腫瘍の治療に使われることもあります。一般に肝癌に対する治療としては、外科的治療の肝切除術と、内科的な肝動脈塞栓術(TAE)・マイクロ波凝固療法(MCT)・経皮的エタノール注入療法(PEIT)などがあります。

PEITは、局所麻酔の処置後に、エコーで観察しながら、細長い針を用いて腫瘍あるいは腫瘍血管を穿刺し((図2)、エタノールを注入して治療します((図3)。エタノールがタンパク成分を凝固させる特性を利用して腫瘍を壊死させる方法で、週に一回程度で3〜5回繰り返して行います。多少の痛みと発熱を起こすことがありますが、比較的良好な経過で短時間に治療できます。

PEITは腫瘍を壊死させて増大や転移を抑制するもので、癌を死滅するには至らないことが往々にしてあるのが現実です。つまり、腫瘍全体にエタノールが行きわたらないと再発する可能性があるということです。したがって、治療効果の厳密な判定のもとに、必要に応じて PEITを繰り返すことで再発を防ぐ事が重要であり、そのためにエコーやCTで定期的に経過を診ることが大切になってきます。
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/dohjin/peit.htm

胃の疾患

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胃潰瘍

胃潰瘍 | Minds医療情報サービス | 胃潰瘍GLの適用と評価に関する研究班編/医療・GL(07年)/ガイドライン目次
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0009/1/0009_G0000138_GL.html

ヘリコバクターピロリ Helicobacter pylori

微好気性(低濃度の酸素と二酸化炭素を必要とする)かつ栄養要求性の厳しい細菌
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%90%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%94%E3%83%AD%E3%83%AA
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ヘリコバクター・ピロリによる胃粘膜傷害(ウレアーゼが粘液中の尿素からアンモニアを生じ、胃酸を中和する)

  • 尿素呼気テスト (urea breath test, UBT)
  • 血中・尿中抗H. pylori IgG抗体検査
  • 便中H. pylori抗原検査
  • 内視鏡的検査 - 迅速ウレアーゼ試験 (rapid urease test, RUT)

尿素とpH指示薬が混入された検査試薬を使用。ウレアーゼにより尿素が分解されて生じたアンモニアによるpHの上昇を利用している

胃炎

  • 表層性胃炎 superficial gastritis(胃粘膜表面で軽い炎症のある状態)
  • びらん性胃炎(炎症により胃粘膜表面がえぐれた状態)
  • 萎縮性胃炎 atrophic gastritis(胃粘膜の炎症が長く続いたために胃粘膜自体が萎縮し薄くなっている状態。一番多い)
  • 肥厚性胃炎(胃粘膜表面が正常より厚く見える状態)

急性胃粘膜病変 acute gastric mucosal lesion, AGML

臨床検査にて胃粘膜に異常所見を認めるもの。 病理的には急性胃炎と急性胃潰瘍病変を伴うもの。 すなわち粘膜固有層のみの炎症病変と粘膜筋板を浸潤する潰瘍病変が同時に生じる。

胃炎 gastris

急性胃炎 acute gastris

胃粘膜の急性炎症であり、炎症が粘膜固有層まで。症状は上腹部痛、吐血。内視鏡にて縦走する発赤(櫛状発赤)が見られる。

腐食性胃炎や薬剤(NSAIDs)由来の胃炎、アルコールやストレスによる胃炎などがある

急性カタル性胃炎(ヘリコバクターピロリへの感染による急性胃炎

慢性胃炎 chronic gastritis

原因としてはピロリや免疫由来。

  • 表層性胃炎 superficial gastritis(胃粘膜表面で軽い炎症のある状態)
  • びらん性胃炎(炎症により胃粘膜表面がえぐれた状態)
  • 萎縮性胃炎 atrophic gastritis(胃粘膜の炎症が長く続いたために胃粘膜自体が萎縮し薄くなっている状態。一番多い)
  • 肥厚性胃炎(胃粘膜表面が正常より厚く見える状態)

急性胃粘膜病変 acute gastric mucosal lesion, AGML

臨床検査にて胃粘膜に異常所見を認めるもの。 病理的には急性胃炎と急性胃潰瘍病変を伴うもの。 すなわち粘膜固有層のみの炎症病変と粘膜筋板を浸潤する潰瘍病変が同時に生じる。
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APRVについて

YouTube - APRVとは:APRVの基本事項

APRV(Airway Pressure Reliese ventilation)

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高いCPAP圧を用いると酸素化能の改善が期待でき、また、呼気解放により換気補助(CO2の排出)が期待できる。しかし、CPAP期間中に換気抑制を生じる欠点もある。したがって、圧差を多くしても、一概に換気補助が増加するとは限らない。いづれにせよ、自発呼吸の存在を前提条件であり、また、換気補助能力に限界がある点が適応上の制約である。

APRVについて - 人工呼吸管理に関するブログ - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/rikimaru1979/8431419.html

ARDS(呼吸不全の最重症タイプ - 心不全による肺水腫以外の呼吸不全で、PF比:PaO2÷FiO2が200以下のもの)において、通常のCPAPでは自発呼吸を残した呼吸管理を行うことはなかなか困難です。パーミッシブ・ハイパーカプネア(こんだけ重症の呼吸不全なんだから、二酸化炭素の貯留はある程度は大目に見ようよっていう考え方)にならざるを得ないこともしばしばです。
(中略)
ARDSであれば驚きの20-30cmH2O程度のPEEPをかけます。この高い気道内圧下で自発呼吸をさせます。イメージは簡単だと思いますが、無気肺でつぶれてしまった肺胞を高い圧をかけて広げてやる感じです。肺胞を開いたopen lungの状態を作って、その上で(最も人工呼吸器による肺障害を少なくできる)自発呼吸をさせます。

…でも、はじめから高いPEEPがかかってますから、ある程度肺が膨らんだ状態からの自発呼吸になってしまいますよね。この減少した換気量を補うために、リリースと呼ばれる喚起補助を行います。リリースですが、高いPEEPから一気に0cmH2Oまで圧を開放してやります。一気に圧が解放(呼気にあたる)されますから、このときCO2がはけます。今までの換気法では、圧をかけて(タイダルを吸わせて)喚起補助をしてましたよね。ここが大きな違いです。画期的!!!

でも、圧が0cmH2Oになるってことは、膨らんでた肺胞が虚脱してしまいますよね。(圧をかけて膨らませてた風船が、圧解除でつぶれてしまう。)で、このリリースですが、ごく短時間(通常0.4-0.6秒以内)で終了して、高い圧に戻してやるため、内因性のPEEP(風船は空気の出口がせまいため、空気が出て行くときに内側から圧がかかります)がかかったまま、肺胞が虚脱する前に呼気が終了します。

つまり、APRVは
①ARDSのようなCO2がたまりやすい病態でも自発呼吸が温存でき、
②高圧相は高い気道内圧で肺胞を開き、リリースのときは内因性のPEEPによって肺胞が虚脱しない換気法なんです。

まとめ:HighPEEPは20-30cmH20、lowPEEPは0chH20、Tlow(リリース時間)は0.4-0.6sec(内因性PEEPにて再虚脱を防止)

APRVの基礎と臨床 - RST*Blog
http://icuweb.biz/blog/archives/2008/01/27-004238.php

注意点はAPRVを用いると血液ガスが良くなるけれど,それに騙されてはいけないということ。レントゲン所見と血液ガスは必ずしも一致しないため,血液ガスが良くなったからと言ってレントゲン所見を確認せずに抜管すると痛い目にあうと言われていました。
(中略)
Phighの設定は重要で,肺胞の解放圧+αへの対抗圧を推定,わからないときは25cmH2Oから開始してみる。リリース時には圧基線を0にせず,AutoPEEPを作る。P Highを下げたら必ずT Highを延ばす。T lowは圧解放時の流量波形とAutoPEEPのかかり具合から設定し,通常0.4〜0.8秒程度。

ちなみに,APRVの再開通効果は,8時間後から酸素化改善効果をみせはじめ,16時間以降はさらなる効果は見られないそうです。

離脱については,P Highの下げ幅は1日に2,3程度にすること。Pを下げるよりも早くTを延ばすのが大切なのだそうです。

VAPについて

VAP 人工呼吸器関連肺炎 ventilator-associated pneumonia

VAPを予防するには、口腔ケア時にオーラルバランス(ジェル状口腔湿潤剤)を使用する/呼吸器の回路交換をむやみに行わない/鎮静をかけすぎない/早期抜管を目指すことが有効。
http://pulmonary.exblog.jp/9859662/
http://www.h7.dion.ne.jp/~oka-shop/sub43.htm
またVAPを発症したら適切な抗菌薬の使用を行い、最初は広域のスペクトルの抗菌薬を使用し、徐々にde-escalationしていく。

VILIあるいはVALI 人工呼吸による肺損傷(Ventilator-induced(associated)lung injury

原因はVolutrauma(容量損傷)/atelectrauma(気道の周期的な虚脱)/Barotrauma(圧損傷)

  • Volutrauma(容量損傷)

ARDS患者の場合、患者の肺のCTを撮ってみると肺は以下の3つの状態が混在していることが分かっている。

完全に虚脱し呼吸に参加していない肺胞/吸気時には空気が入るが呼気時に虚脱する肺胞/正常な換気を行っている肺胞

※このため、ARDSの患者の場合は正常な人に比べて換気している肺胞の数が少なく、たとえ常識的な1回換気量で換気を行っていたとしても、患者に残っている正常な肺胞には過大な1回換気量になってしまう。

  • 気道の周期的な虚脱

ARDSで病的になった肺胞の一部は、換気にあわせて開放した状態と虚脱した状態とをいったり来たりする。この状態により生じる肺の損傷は atelectraumaと呼ばれている。

この、周期的に生じる気道の虚脱、開放は肺胞にダメージを与える。この運動により、肺胞内のサーファクタントは気管側に流出してしまい、虚脱した肺胞を再び開放するためにかかる圧力は肺胞の内皮細胞を障害する。

  • Barotrauma(圧損傷)

Volutraumaの考え方以前に主流だったのが、気道内圧が高いこと自体が肺に障害を与えるという考え方である。
肺に過大な圧力を与えると肺の内皮細胞は障害されるが、この働きが病的な肺でどれだけ肺障害の成立に関与しているのかはまだ議論がある。
原理的には、Barotraumaは1回高い気道内圧で換気しただけでも生じうる。

  • 炎症性サイトカインの増加

ARDSを生じた患者の多くで多臓器不全を生じるが、この原因の一つが人工呼吸器であるという考え方がある。最近の動物実験からは、人工換気により以下の2つの状態が引き起こされると考えられている。

炎症性サイトカインの増加/肺を通じた細菌の進入

ARDSの患者には多臓器不全が合併することが多いが、これは多臓器不全に伴ってARDSを生じるのではなく、 ARDSに陥った肺、あるいは人工呼吸器による肺障害自体が多臓器不全を引き起こす引き金になるという考え方がある。

ARDSやALIの状態になった肺には、好中球をはじめとした炎症細胞が多数浸潤している。このため、肺を通過した血液にはこうした細胞から分泌された炎症性サイトカインが多量に含まれ、これが多臓器不全を引き起こす原因の一つになっていると考えられている。

Ventilator associated lung injury - レジデント初期研修用資料(旧)
http://medt00lz.s59.xrea.com/blog/archives/2004/11/ventilator-asso.html

サーファクタント欠乏による無気肺への人工換気による肺損傷(athelectrauma, volutrauma)と、酸素毒性